派遣ノウハウ

派遣と出向の違いとは?特徴やメリットとデメリットを解説

派遣と出向は“自社以外の場所で就業する”という点は似ていますが、違う点もいくつか存在します。
では、その違いとは具体的にどのようなものなのでしょうか?

本記事では、派遣と出向の違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
それぞれの違いをよく理解し、トラブルなく就業するためにぜひお役立てください。

派遣と出向の違いとは?

派遣と出向には、主に以下のような違いがあります。

【派遣と出向の違い】

  • 契約形態の違い
  • 雇用期間の違い
  • 給与を支払う主体の違い

それぞれどのように異なるのかを、一つずつ見ていきましょう。

契約形態の違い

まず、派遣と出向は契約形態に違いがあります。

派遣の場合、派遣元と派遣先が“労働者派遣契約”を結びます。
そのうえで、労働者が派遣先で就業するという仕組みです。
派遣先は労働者に業務の指揮命令権を有しますが、雇用契約を結ぶのはあくまで派遣元です。

一方、出向では基本的に労働者が出向元との雇用契約を維持したうえで、出向先とも新たに雇用契約を結びます。
業務に関する指揮は派遣と同様に、就業先である出向先が行います。

このように、派遣と出向では就業先との雇用契約の有無が異なるのです。

雇用期間の違い

次に、雇用期間が異なるのも特徴です。

派遣は同一の派遣先で継続して就業する場合、労働者派遣法によって最短で31日、最長3年と雇用期間が定められています。
それに対して、出向は具体的に何年までと、雇用期間が定められているわけではありません。

そのため、出向元と出向先のあいだで、自由に雇用期間を決めることができます。
従事する仕事内容によっては、出向の期間が長期になるケースもあります。

以上のように、派遣は3年以内、出向は雇用期間が定められていないことは念頭においておきましょう。

給与を支払う主体の違い

派遣と出向は、給与を支払う主体にも違いがあります。

派遣では、基本的に雇用契約を結んでいる派遣元が給与を支払います。
派遣先が派遣元に労働者の給与を支払い、派遣元のマージン(必要経費)を差し引いた分が労働者に支払われるという仕組みです。

これに対し出向は、出向元と出向先間で結ばれる契約によって、以下の4つの支払い方法があります。

【出向での給与の支払い方法】

  • 出向先が出向元に給与負担金を支払い、出向元が労働者に支払う
  • 出向先が労働者に給与を支払い、差額がある場合は出向元が補填する
  • 出向元と出向先で、それぞれ分担して給与を支払う
  • 出向元か出向先のどちらかが給与を支払う

出向先での給与の支払いについては、“出向契約書”に記載されているので必ず目を通しておくことをおすすめします。

派遣とは?

派遣と出向の違いが把握できたところで、ここからはそもそもどのような労働形態なのかについて理解を深めていきましょう。

まずは派遣の種類について、以下の3つの労働形態を紹介します。

【派遣の種類】

  • 一般派遣
  • 無期雇用派遣
  • 紹介予定派遣

一般派遣

一般派遣とは、労働者が派遣元に登録し、派遣元から紹介された派遣先で業務に従事する働き方のことです。
通常、派遣契約といえばこの一般派遣のことを指します。

繰り返しになりますが、労働者は派遣元と雇用契約を結びます。
派遣先とは雇用契約を結ばず、指揮命令を受けて業務に従事するのが基本です。

派遣先との雇用契約が満了するタイミングで、次の派遣先が決まっていなければ派遣元との雇用契約も終了します。
また、契約期間には定めがあり、継続的に派遣社員として働くのであれば3年間の契約期間内で3か月または6か月ごとの更新が必要です。

自己都合で雇用契約を更新しない場合は、派遣契約の期間が切れる1か月前までに派遣元に伝えましょう。

無期雇用派遣

無期雇用派遣は、労働者と派遣元が期間を定めずに雇用契約を結び、派遣先で就業することを指し、正社員型派遣や常用型派遣ともよばれています。
先ほどの一般派遣とは異なり、長期的に就業できます。

派遣先で就業していないあいだも、派遣元との雇用契約は継続されるので、「就業先が決まらなかったらどうしよう……」と焦る必要はありません。
もちろん、次の就業先が見つかるまでのあいだも給与あるいは休業手当が支払われます。

安定した環境で長く就業したい場合は、無期雇用派遣がおすすめです。

ただし、無期雇用派遣は正社員の場合と同様、雇用契約によって就業先が決まってくるので、希望と合わない職場に配属される可能性がある点には注意が必要です。

紹介予定派遣

派遣先に正社員または契約社員として直接雇用されることを前提に、一定期間、派遣社員として就業する働き方を紹介予定派遣といいます。

派遣としての雇用期間は最長6か月で、労働者と派遣先の双方が合意すれば、雇用契約の期間が満了したあとに、直接雇用に切り替わるという仕組みです。

正式な入社前に、派遣先の仕事内容や職場環境などを確認することができるので、労使双方ともにミスマッチを防げるのがメリットです。

直接雇用されるまで、派遣元のスタッフが徹底的にサポートしてくれるところも多いため、「ゆくゆくは正社員として働きたい」と望む方には紹介予定派遣が適しています。

出向とは?

一方、出向には在籍出向と転籍出向の2種類があります。
それぞれ内容が異なるので、本項の内容もきちんとチェックしておきましょう。

在籍出向

在籍出向とは、出向元との雇用契約は継続したまま出向先で就業することです。
出向しているあいだ、労働者は出向元と出向先の両方と雇用契約を結びます。

そして、あらかじめ定められた雇用期間が満了したとき、あるいは出向先での仕事が終了すると、労働者は出向元へと戻ります。

転籍出向

労働者が出向元との雇用契約を終了したうえで、新たに出向先と雇用契約を結ぶことを転籍出向といいます。

転籍出向では、出向した段階で出向元との雇用契約が終了するので、出向元に籍は残りません。
再び出向元に戻る場合は、新たに雇用契約を結びなおす必要があります。

出向元と出向先で出向契約は結ばれますが、労働者は出向元から籍を抜いているので、転籍出向は実質的に転職と同義となります。

偽装出向とは?

“偽装出向”は、出向を偽装して労働者供給事業を行う違法行為を指します。

労働者供給事業とは、供給元の企業が供給先の企業に労働力を提供し、対価を得る行為のことです。
これを行うには厚生労働大臣による許可が必要で、正式な許可が下りた場合は厳しい基準や運用上の制約が適用されます。

そのため、これらの制約を免れるために出向というかたちで労働力を提供し、無許可で対価を得る企業も存在するのです。

もし偽装出向が発覚した場合は、労働者派遣法違反によって企業の代表者や出向先の指揮命令者に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。

偽装出向の疑いをもたれないために、企業は「職業訓練計画書を事前に作成する」「グループ企業にのみ出向してもらう」など、日頃から立ち振る舞いに注意する必要があります。

派遣のメリット

次に、派遣と出向のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
派遣として就業する際のメリットには、主に以下のものが挙げられます。

【派遣として就業するメリット】

  • 自身の生活スタイルに合わせて就業できる
  • 自身の希望する仕事に就くことができる
  • 大手企業で働くことができる
  • 万全なサポート体制が整っている
  • 正社員よりも高い給与が支払われる可能性がある

派遣社員は、勤務地や勤務時間、職種などさまざまな条件で自身の希望に合った仕事を選ぶことができます。
自身の生活スタイルに合った条件を提示している企業で働けるため、仕事とプライベートを両立させたい方におすすめです。

また、カウンセリングサービスやスタッフとの定期的な個人面談など、サポート体制が充実しているのも派遣の魅力の一つです。
派遣先や仕事に対する悩みなども気軽に相談しやすいため、安心して就業できます。

派遣のデメリット

派遣として就業するうえでは、先ほどのメリットのほかに以下のようなデメリットもあります。

【派遣として就業するデメリット】

  • 同一の企業で3年以上働くことができない
  • ボーナスや賞与は基本的に支給されない
  • 社会的な信用度はいまだに低い
  • 仕事はあらかじめ契約で定められた範囲しか任されない

派遣として同一の企業に継続して就業するケースでは、雇用期間が3年までと定められています。
仕事内容や職場環境が自身に合っていたとしても、3年を超える就業が不可能な点にご留意ください。

なお、同一の企業でも部署が変更されれば、また新たに3年間働けますが、派遣先の事情や労働者のスキルによっては思い通りにいかないことも覚えておきましょう。

また、雇用形態が派遣の場合、ボーナスや賞与は支給されないのが基本です。
そのため、経済的な安定を重視している方は、正社員や契約社員として雇用されることを前提とした紹介予定派遣を目指すのがよいでしょう。

出向のメリット

他方、出向のメリットとしては、「自身のスキルアップが叶う」「人脈を形成できる」などが挙げられます。それでは、一つずつ見ていきましょう。

【出向として就業するメリット】

  • 転職を経験せずとも、スキルアップが叶う
  • 新しい環境で、幅広い人脈を形成できる
  • 出向元との雇用契約を維持したまま、新たな企業で就業することができる

在籍出向の場合は、出向元との雇用契約を維持しながら新しい環境で業務に従事することが可能です。
そのため、転職を経験せずとも異なる職場で新しいスキルを磨けます。

また出向すると、グループ企業やそのほかの企業に在籍している方との交流の機会がおのずと増えます。
異なる環境で働く方たちとつながることで、将来に生かせる人脈やキャリアを獲得できるかもしれません。

出向のデメリット

出向も派遣と同じように、デメリットがいくつかあります。

【出向として就業するデメリット】

  • 職場環境の変化によるストレスを受ける可能性がある
  • 給与や待遇が変わるおそれがある
  • 目指すべきキャリアの方向性とずれることがある

出向では、慣れない環境で仕事を一から覚え、新たな人間関係を構築することが求められます。
そのため、職場環境や人間関係の変化によっては、大きなストレスを受けるかもしれません。

さらに、転籍出向では出向先の給与水準に合わせて給与が支払われるため、以前よりも給与が下がる可能性もあります。

このように労働条件が不利になる場合は、労働者は断る権利をもっているので、出向元ときちんと話し合って条件を擦り合わせることが大切です。

派遣と出向は、契約形態や雇用期間、給与の支払い方などさまざまな点が異なる

今回は、派遣と出向の違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介しました。

派遣と出向は契約形態や雇用期間など、さまざまな点が異なります。
具体的に、派遣の雇用期間は最長で3年ですが、法律による縛りがない出向には期限が設けられていません。
また給与を支払う主体も、派遣は派遣元が支払うのに対し、出向は複数のパターンがあります。
そのため、契約時にスタッフあるいは出向元にきちんと確認することが重要です。

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