派遣の働き方

派遣社員の契約更新の流れは?円滑に進めるポイントも解説!

派遣社員の働き方のうち、雇用期間の定めがあるものを登録型派遣といいます。

登録型派遣で、雇用期間終了後も同じ派遣先企業で働くには、契約を更新しなければなりません。
しかし、契約更新の手続きに関して「難しくないだろうか」と不安を抱いている方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、契約を更新する際の流れと、手続きを円滑に進めるためのポイントを解説します。
契約を更新した経験がない方は、参考にしてください。

派遣社員が契約を更新または終了する際の流れ

雇用期間を定めたうえで契約を結ぶ登録型派遣の場合、期間を終えたあとは、契約を更新するか終了するかのいずれかを選択します。

どちらを選んだとしても、基本的な流れは以下の通りです。

【派遣社員の契約を更新・終了する際の一般的な流れ】

  1. 派遣会社が派遣社員に契約更新の意思を確認する
  2. 派遣会社が派遣先企業に契約更新の意思を確認する
  3. 契約更新または終了が正式に決定する
  4. 契約更新または終了の手続きを行う

ここからは、順を追って詳しい内容を見ていきましょう。

ステップ①派遣会社が派遣社員に契約更新の意思を確認する

派遣社員は、契約満了日のおよそ1か月前になると契約の更新または終了を選択する必要があるため、派遣会社から更新の意思を確認されます。

この段階で契約更新の判断がつかない場合は、派遣会社に検討中である旨を伝えても問題ありません。
可能であれば、その理由や回答できる具体的な時期などをあわせて伝えましょう。

ステップ②派遣会社が派遣先企業に契約更新の意思を確認する

契約に関する手続きは、派遣社員と派遣先企業の双方の同意がなければ進められません。
そのため、派遣先企業にも、派遣会社から契約更新の意思確認が行われます。

契約を更新する場合は、派遣先企業から「スキルをもう少し伸ばしてほしい」「月末は、〇時間ほど残業対応してほしい」などの要望を提示されることがあります。

一方で、派遣社員から派遣先企業に対して、昇給や勤務時間の変更などを申し出ることも可能です。
派遣会社があいだに立ってくれるため、希望は遠慮なく伝えましょう。

ステップ③契約更新または終了が正式に決定する

契約満了日のおよそ1か月前になると、派遣社員と派遣先企業のそれぞれに対する意思確認や認識のすり合わせが済み、契約更新もしくは終了のいずれかが正式に決まります。

契約を更新する場合は、次の契約期間中の仕事内容や雇用条件を確認し、具体的な目標を設定しましょう。

反対に、契約を更新せず次の派遣先企業を探すのであれば、派遣会社に求人情報を紹介してもらう必要があります。

ステップ④契約更新または終了の手続きを行う

契約更新もしくは終了が正式に決定したあとは、いずれの場合でも、所定の手続きを行わなくてはなりません。

契約更新時は、派遣会社が準備する雇用契約書や労働条件通知書によって、契約を改めて結びます。
給与や勤務時間、仕事内容などの雇用条件が変更となるケースもあるため、書類の内容はよく確認することが大切です。

一方、契約を終了して派遣先企業での就業を終えるのであれば、最終出勤日の調整や国民年金・国民健康保険への切り替え手続きなどが必要となります。

この場合も、派遣先企業とのやりとりは、基本的に派遣会社を通じて行います。
そのため、手続きに際して生じた疑問点や不明点などは、派遣会社に相談しましょう。

派遣社員が契約を更新または終了する際の手続きを円滑に進めるためのポイント

派遣社員が契約を更新・終了する際は、以下のポイントを踏まえると、手続きを滞りなく進められます。

【派遣社員の契約を更新・終了する際の手続きを行ううえでのポイント】

  • ポイント①契約更新の判断軸を持っておく
  • ポイント②雇用条件の希望は派遣会社に早めに伝えておく
  • ポイント③契約を更新しない場合は次の仕事を探し始めておく

本項では、それぞれの内容を詳しくお伝えします。

ポイント①契約更新の判断軸を持っておく

契約更新もしくは終了を検討する際は、判断軸を事前に考えておくことがポイントです。
判断基準を明確にしておくと、悩まず決断を下せるようになり、手続きをスムーズに進められます。

契約更新を決めるための判断軸としては、たとえば以下のような項目が挙げられます。

【契約更新を検討する際の判断軸の例】

  • 仕事内容が自分の目指すキャリアと一致しているか
  • 職場環境や人間関係などは自分に合っているか
  • 自分が希望する雇用条件が設けられているか

「特定の資格を取得したい」「専門的な職種に就職したい」などの理由で、派遣社員として働いて経験を積みたい方は、派遣先企業の仕事内容を確認しましょう。

派遣先企業の仕事内容が自分の成長につながるのであれば、契約を更新して働きつづけるメリットがあると判断できます。

また、派遣先企業が自分にとって「契約を更新して働きつづけたい」と思える職場であることも、重要な指標です。
職場環境や人間関係が自分に適していない、あるいは自分が望む給与や勤務時間が設定されていないといった状況なら、派遣先企業を変えたほうが働きやすくなります。

そのため、派遣の仕事を始めてから派遣先企業に対する不満が生じた場合は、派遣会社に都度相談することをおすすめします。

派遣先企業に雇用条件を交渉してくれるほか、必要に応じて新しい派遣先企業を探してもらうこともできるので、契約を更新するかどうかを決められるでしょう。

ポイント②雇用条件の希望は派遣会社に早めに伝えておく

雇用条件の希望があり、契約更新のタイミングで派遣先企業に相談したいのであれば、派遣会社にできる限り早めに伝えておくことが大切です。

派遣会社が派遣先企業と余裕を持って交渉できるため、希望を調整したうえで更新手続きを進めてもらえる可能性が高まります。

また、条件交渉が難航した場合は、派遣会社から希望する雇用条件に近い別の派遣先企業を紹介してもらえます。

もし別の派遣先企業を探すとなった際も、早くから行動して契約満了日までに次の仕事を見つければ、新しい職場での業務にスムーズに移行することが可能です。

ポイント③契約を更新しない場合は次の仕事を探し始めておく

お伝えしたように、契約を更新せずに派遣先企業での就業を終える場合は、次の派遣先企業を探さなければ働きつづけることはできません。

契約満了日を迎えてから探すとなると、働けない空白期間ができてしまうため、契約終了を決めた段階から余裕を持って準備しておくと安心です。
派遣会社にも契約終了の旨を早めに伝えれば、その後の手続きが円滑に進むでしょう。

なお、次の派遣先企業を探す際は、すでに登録している派遣会社に紹介してもらうかたちが基本ですが、別の派遣会社に登録することも一案として挙げられます。

派遣会社ごとに保有している求人情報は異なるので、今まで見つけられなかった理想の派遣先企業と出会える可能性があります。

派遣社員が意思確認の際に契約更新を断れなかった場合はどうする?

派遣社員は、派遣会社から契約更新の意思を確認された際に断るのであれば、特に不利益を被ることなく派遣先企業での就業を終えられます。

とはいえ、契約更新の回答を一度保留した、あるいは契約期間中に辞めるなどの理由で、意思確認のタイミング以外で契約終了を申し出なければならないケースも考えられます。

このような場合に備え、以下の項目を押さえておくと、派遣会社と派遣先企業に可能な限り迷惑をかけずに就業を終えることができるでしょう。

【派遣社員が意思確認のタイミング以外で契約更新を断る際に押さえておきたいこと】

  • 契約更新を断ることが可能な期限
  • 契約更新を断る際の注意点
  • 契約期間中に辞めなくてはならなくなった場合の対処法

契約更新を断ることが可能な期限

契約更新の意思確認の際は、派遣会社がさまざまな事情を考慮し、適切な返答期日を提示してくれるため、指定された期日までには更新を断る必要があります。

この期日は、契約満了日の30日前に設定されることが一般的です。

ただし、初回契約の期間が非常に短く設定されており、契約満了日の30日前に更新を断ることが現実的ではないケースもあります。

そのような場合は、派遣会社に相談しましょう。

契約更新を断る際の注意点

契約を更新しないことを申し出るのであれば、まず派遣会社に伝えるのがマナーです。

派遣社員が雇用契約を結んでいるのは派遣会社であるため、派遣会社を通さなければ、派遣先企業での就業を終える手続きは進められません。

なお、契約更新を断る際は、理由を添えつつ対面で話すことが理想です。
メールや電話ではこちらの意思がうまく伝わらず、手続きがスムーズに進まなくなるおそれがあります。
最悪の場合、誤解が生じて派遣会社との信頼関係が保たれなくなり、次の派遣先企業を紹介してもらえなくなるという事態を招きかねません。

派遣会社と良好な関係を続けるためにも、直接会って伝えることが大切です。

契約期間中に辞めなくてはならなくなった場合の対処法

原則として、派遣社員が契約で定められた雇用期間中に就業を終えることは認められていません。
しかし、やむを得ない理由がある場合は、契約期間内であっても契約を終了できます。

このような、やむを得ない理由に該当する例としては、以下が挙げられます。

【派遣社員が契約期間中での退職を認められる理由の例】

  • 心身の不調によって業務を続けることが難しくなった
  • 家族の介護や看病をしなくてはならなくなった
  • 給与の未払いといった契約不履行があった
  • 契約時に聞いていた内容と実際の仕事内容が大きく異なっていた
  • 派遣先企業でハラスメント行為の被害にあった

上記の通り、個人または家庭の事情や、派遣先企業の労働環境が理由であれば、契約期間中でも辞めることは可能です。

もし、ご自身の境遇がやむを得ない理由に該当するのかがわからず不安な場合は、派遣会社に相談することで適したアドバイスを受けられるので、ご安心ください。

契約更新を断る理由の伝え方

派遣社員として働くことを検討するにあたり、「万が一辞めるとなった場合の理由の伝え方も知っておきたい」と思われる方も、いらっしゃるかもしれません。

契約更新を断る際に理由を話すのは必須ではありませんが、不安を払拭したうえで派遣の仕事を始めるためにも、伝え方の具体例を押さえておくとよいでしょう。

ここからは、以下の3つのケースに分けて、契約更新を断る理由の伝え方を紹介します。

【契約更新を断る理由として考えられる主なケース】

  • 個人や家庭の事情で断る場合
  • 派遣先企業に対する不満で断る場合
  • 個人的な都合で断る場合

個人や家庭の事情で断る場合

パートナーの転勤による引っ越しや親の介護など、個人や家庭の事情で契約を更新しない場合は、正直な理由を伝えて問題ありません。

プライベートに関する伝えにくい理由であれば、“一身上の都合”として、ぼかして話すことも可能です。

ただし、状況が落ち着き次第、同じ派遣先企業で再び働きたいのであれば、理由を明確に話すことをおすすめします。

これにより、派遣会社から「また理由なく辞められるのではないか?」と不信感を持たれることなく、派遣先企業を再度紹介してもらえるでしょう。

派遣先企業に対する不満で断る場合

派遣先企業に問題があって辞めたいのであれば、派遣会社に情報が正確に伝わるように、率直な理由を話すことが重要です。

このような問題が見過ごされたままになると、派遣先企業の対応が改善されず、ほかの派遣社員も同じような問題に巻き込まれてしまうおそれがあります。

なお、先に述べた通り、派遣先企業に起因する理由で辞めたい場合は、契約期間中でも就業を終えられます。
無理して勤務を続けようとせず、派遣会社に早めにご相談ください。

個人的な都合で断る場合

「仕事内容や職場の雰囲気が自分に合わない」「給与に不満がある」などの理由で断る場合は、可能な限りポジティブに伝えることがポイントです。

たとえば、臨機応変な対応が求められることに対する不満は、「一つの物事に集中できる職場で働きたい」と、前向きな言葉に言い換えられます。
不満をそのまま伝えるのではなく、表現を少し変えることで、仕事への積極的な姿勢をアピールできるでしょう。

その結果、派遣会社から次の派遣先企業を紹介してもらえる可能性があります。

派遣社員の契約更新の手順は事前に押さえておくことが大切

今回は、派遣社員が契約を更新する際の流れや手続きを進めるためのポイント、そして契約更新を断る際に押さえておきたい知識を紹介しました。

派遣社員として同じ派遣先企業に長く勤めるには、契約の更新が必要となります。
そのため、これから派遣の仕事を始める方も、契約更新の手順は事前に知っておくと安心です。

派遣社員を辞めるとなった場合も想定し、契約更新を断る方法も頭に入れておけば、不安なく仕事を始められるでしょう。

「派遣の仕事に興味があるけれど、手続き関係のことが複雑そうで心配」という方は、ホットスタッフにぜひご相談ください。
派遣の仕事が初めての方でも働きつづけられるよう、専任の担当者がサポートいたします。

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