50代になり人生の節目を迎えたことをきっかけに、新しい働き方として、派遣やパートのお仕事を探し始めた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、両者にはさまざまな点で違いがあり、その点を把握しないまま職探しを続けてしまうと、思い描いていたイメージ通りの働き方を実現できません。
ご自身に合った働き方を選ぶためにも、派遣とパートの違いや、それぞれのメリット・デメリットを本記事で確認していきましょう。
目次
50代は派遣とパートのどちらを選ぶべきか
派遣とパートは給料や勤務形態などさまざまな点で違いがあり、50代で働くにあたってどちらが適しているかは、人によって異なります。
では、具体的にどのような方が派遣・パートのそれぞれに適しているのでしょうか?
派遣はこのような方におすすめ
以下の特徴に当てはまるものがあるなら、派遣として働くことをおすすめします。
【派遣として働くのがおすすめの方の特徴】
- パートよりも高い水準の給料を得たい
- これまでに培ってきた経験やスキルを活かして働きたい
- さまざまな現場で働いて経験を積んでいきたい
- 今後のキャリアや働き方について、会社の手厚いサポートを受けたい
- 自身のライフスタイルに合った働き方を模索したい
詳細な金額については後述しますが、派遣はパートよりも給料が高い傾向にあるため、生活を支える収入を得るのが目的なら派遣で働くのが最適です。
また、派遣の仕事には一定の専門性が求められる場合があるため、「これまでに身につけてきた技能が活かせるチャンスを得たい」とお考えの方にも適しています。
くわえて、派遣では3年ごとに派遣先が変わるため、いろいろな経験を積みたい方には好都合な働き方となっています。
派遣会社によってはキャリアや働き方に関するサポートサービスも提供しているので、年齢に関係なく成長しつづけられるでしょう。
パートはこのような方におすすめ
対して、パートで働くのがおすすめの方の特徴としては、以下の4つが挙げられます。
【パートとして働くのがおすすめの方の特徴】
- 勤務時間を自由に調整して働きたい
- 家族の扶養内に収まるように、収入を調整しながら働きたい
- 同じ職場で長期的に働きたい
- 未経験の職種に、簡単な業務から挑戦していきたい
パートは派遣よりも柔軟に勤務時間を決められるので、たとえば「土日だけ」「毎日5時間だけ」といった働き方がご希望であれば、パートとして働くのがよいでしょう。
同様の理由から収入も調整しやすく、ご家族の扶養内に収まるようにしつつ、家計を支えるために働くといった対応も可能です。
このほか「同じ職場で長く働きつづけたい」また「簡単な業務から未経験の職種に挑戦したい」とお考えの方にも、パートが理想的な選択肢となりえます。
派遣とパートの違い
ここでは、働くうえで特に重要性の高い5つの項目に焦点を当てて、派遣とパートの違いを掘り下げます。
どちらがご自身に合っているのかをしっかりと検討するためにも、まずは両者の違いを詳細に把握しておきましょう。
【派遣とパートの違い】
- 給料
- 勤務時間
- 雇用形態
- 契約期間
- 業務内容
給料
一般的に、派遣社員のほうがパートよりも給料が高い傾向にあります。
厚生労働省の公開している『令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)』および『毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報』のデータをもとに計算すると、派遣社員の平均年収が3,691,320(※1)円、パートの平均年収は1,254,840(※2)円となります。
この平均年収の差は、働き方を決めるうえでの非常に重要な検討材料だといえるでしょう。
【参照元】
厚生労働省「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)p1」
※1 資料に基づき1日の平均賃金を16,190円とし、月に平均19日出勤すると仮定した場合の金額
※2 資料に基づき月の平均賃金を104,570円とした場合の金額
勤務時間
派遣では、派遣登録する際に勤務時間の要望を詳細に登録できるため、フルタイムで働けるのはもちろん、短時間勤務を選ぶことも可能です。
ただし、勤務時間の条件を詳細に設定し過ぎると紹介可能な求人が限られてしまい、働き始めるまでに時間がかかる場合もあるため、注意しましょう。
一方、パートではフルタイムで勤務するケースは少なく、基本的には時短勤務となります。
出勤する曜日や時間帯は自身の都合に合わせて設定できますが、勤務先の状況次第では、希望と異なるシフトでの勤務を要求される場合もあります。
雇用形態
派遣社員が雇用契約を結ぶ相手は、派遣先ではなく派遣元です。
派遣先との関係性を派遣会社が取り持ってくれるという利点がある一方で、雇用形態の違いからくる距離感によって、現場で密な人間関係を築くのが難しい場合もあります。
対して、パートで働く際の雇用形態は、勤め先の企業との直接雇用となります。
労働条件に関する交渉などをご自身で行わなくてはなりませんが、その企業の一員であるという意識が芽生えやすく、ほかの従業員や顧客とも長期的な人間関係を築けるでしょう。
契約期間
派遣契約は基本的に有期雇用となっており、数か月または数年単位で契約を更新、あるいは打ち切ることとなります。
また、派遣には“派遣3年ルール”というものがあり、契約を更新しつづけたとしても、原則として同じ職場では最長3年までしか働けません。
その点、パートなら無期雇用での契約が可能で、企業と労働者が互いに合意している場合には、定年まで働きつづけられます。
定期的に職場が変わることを許容できないのであれば、派遣ではなくパートで働くことをおすすめします。
業務内容
派遣社員が担当する業務には、専門的なスキルが必要となるものが多く、必然的に一定の責任も生じます。
「自身の持つ経験やスキルが活かせる、重要性の高い業務に携わりたい」と望まれる方にとっては、理想的な環境だといえるでしょう。
他方、パートが任される仕事は主に定型的な作業や補助的な業務がほとんどで、特殊な技能が求められることは少なく、責任範囲も限定されます。
未経験の職種でもプレッシャーなく働くことが可能ですが、仕事のやりがいを追求したい方は、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
50代が派遣で働くメリット
ここからは、50代の方が派遣・パートそれぞれの形態で働いた際のメリット・デメリットを解説します。
まずは、派遣で働く場合のメリットから見ていきましょう。
【50代が派遣で働くメリット】
- メリット①自分のスキルを活かせる
- メリット②パートよりも給料が高い
- メリット③派遣会社にキャリア相談ができる
メリット①自分のスキルを活かせる
50代ともなると、それまでの社会人経験を通じて、多種多様なスキルを身につけてきた方が多いと思われます。
そういったスキルを活かしたいのであれば、専門的な技能が必要な仕事を任されることが多い、派遣社員として働くのがおすすめです。
事務処理能力やコミュニケーションスキルといった、ビジネスパーソンとしての基本的なスキルがあれば、派遣先で即戦力として活躍できるでしょう。
マーケティングや経理などのより専門性の高いスキルがあれば、さらに重要性の高い業務を任せてもらえる可能性もあります。
メリット②パートよりも給料が高い
先ほど言及した通り、基本的には派遣のほうがパートよりも給料は高い傾向にあります。
また、派遣のなかでもより専門性の高い職種であれば、平均以上の給料を得ることも可能です。
長年のキャリアを通じて、専門性の高いスキルを身につけてきた方であれば、派遣社員として働くのがおすすめです。
メリット③派遣会社にキャリア相談ができる
派遣社員であれば、自身のキャリアについて悩んだときに、派遣会社の担当者に相談することが可能です。
派遣先企業との交渉も任せられるので、別の業務に挑戦したい、または部署を変えたいなどの要望もスムーズに叶えられる可能性があります。
パートでも、場合によっては職場の人が相談に乗ってくれる可能性はありますが、派遣会社ほどの手厚いサポートは受けられないでしょう。
50代が派遣で働くデメリット
メリットばかりあるように思える50代での派遣ですが、無視できない以下のデメリットがあることは把握しておきましょう。
【50代が派遣で働くデメリット】
- デメリット①同じ職場で3年以上働くことができない
- デメリット②自分に適した求人が少ない
デメリット①同じ職場で3年以上働くことができない
先ほどお伝えした通り、“派遣3年ルール”によって派遣では原則として同じ職場で3年以上働けません。
この都合上、完遂までに長期間を要するプロジェクトなどは、任せてもらえない傾向があります。
また、特に50代となると、3年ごとに職場環境や業務内容、人間関係が一新されることが大きなストレスとなるかもしれません。
なお、派遣先に直接雇用してもらう、または派遣元に無期雇用契約に変更してもらえれば、同じ職場で3年以上働くことも可能です。
しかし、すべての企業が上記の対応に応じてくれるわけではないので、過度に期待するのは避けましょう。
デメリット②自分に適した求人が少ない
高度なスキルを持っている50代の方に対して、企業側がそれに見合った業務を提供できない、あるいは給料を支払えない場合もあります。
そのため、スキルを最大限に活用できる職場を探すことにこだわり過ぎると、なかなか適した求人が見つからなくなってしまうのです。
少しでも多くの求人を紹介してもらいたいのであれば、派遣先に求める条件を柔軟に変えることを検討しましょう。
ご自身の経歴にこだわらず、どんな職種でも働きたいという姿勢を示すことが、時には重要となります。
50代がパートで働くメリット
50代が派遣で働くメリット・デメリットがわかったところで、次はパートとして働くメリットを紹介します。
【50代がパートで働くメリット】
- メリット①勤務時間の融通が利く
- メリット②同じ職場で長期間働ける
- メリット③未経験でも挑戦しやすい
メリット①勤務時間の融通が利く
パートは勤務時間を比較的に柔軟に決められるので、ご自身のプライベートや、家事・育児などとの両立が難しくありません。
「週に2~3日しか働けない」「1日の勤務時間を5時間以内に抑えたい」などの要望も、企業側に相談し調整すれば叶えられるでしょう。
派遣でもある程度は勤務時間を柔軟に決められますが、パートほどの自由度はありません。
融通の利く働き方をお望みであれば、派遣ではなくパートを選ぶことをおすすめします。
メリット②同じ職場で長期間働ける
パートには派遣のような3年ルールは存在せず、企業側と合意できてさえいれば定年まで働きつづけることが可能です。
「またいちから職場環境や業務内容に慣れないといけない……」という精神的な負担がかからない点は、50代という年齢では特に大きなメリットだといえます。
メリット③未経験でも挑戦しやすい
パートで任される業務内容はシンプルなものが多く、専門的な知見が求められることはあまりありません。
そのため、未経験者でも応募できる求人が比較的多い傾向にあります。
結婚や育児、その他のさまざまな事情で働くことにブランクがあるなら、まずはパートで仕事を探してみるのがよいでしょう。
5 0代がパートで働くデメリット
勤務時間が比較的自由で、未経験者でも働けるケースが多いパートですが、当然デメリットもあります。
パートとして働くことを検討する前に、以下の2点を許容できるかどうかをしっかりと考えましょう。
【50代がパートで働くデメリット】
- デメリット①派遣よりも収入が少ない
- デメリット②やりがいが得られない場合がある
デメリット①派遣よりも収入が少ない
短時間でも働けるうえに、専門的な知識やスキルも求められないパートですが、そのハードルの低さゆえに派遣よりも給料は少ない傾向にあります。
また、派遣社員はボーナスや追加の手当を貰える可能性がありますが、パートでは基本的にそのような追加の収入は得られません。
生活を支える収入源を得ることが目的なのであれば、パートではなく派遣で働くことをおすすめします。
デメリット②やりがいが得られない場合がある
パートで任される仕事は単純作業や補助的な業務が多く、人によってはやりがいを見出せないかもしれません。
キャリアアップの機会も少ないため、自身の成長も明確には実感できないでしょう。
「責任ある立場で自分の経験やスキルを活かしたい」と望まれる方には、パートはあまり適していないといえます。
50代におすすめの派遣の業界・職種
ここまでの内容を踏まえて「自分には派遣が合っていそうだ」と思われた方のために、ここからは50代の方におすすめの業界・職種を紹介します。
派遣先選びでお悩みの際は、まずは以下の3つの業界・職種から選んでみてはいかがでしょうか。
【50代におすすめの派遣の業界・職種】
- 福祉関係
- 事務関係
- 製造関係
福祉関係
福祉業界は慢性的な人手不足が課題となっており、それゆえに年齢にかかわらず引く手あまたの状態となっています。
介護施設・障がい者施設での介護助手やレクリエーションの補助などが、具体的な業務内容です。
特別な資格がなくとも活躍できる職種なので、未経験からでも比較的挑戦しやすいといえます。
なお、募集している職種次第では資格が必要な場合もありますが、資格取得を支援してくれる派遣会社を利用すれば、そういった職種にも応募できるようになるでしょう。
また、すでに資格を保有している、あるいは福祉業界を経験したことがある方なら、即戦力としてさらに重宝されると思われます。
事務関係
求人数が多く未経験者でも挑戦しやすい職種としては、事務関係の仕事も挙げられます。
一般事務や営業事務、学校事務、保険事務など、事務業務はあらゆる業界で必要となるので、求人数が多いだけではなく、自身に合った職場も探しやすい傾向にあります。
業務内容も、データ入力から書類作成、電話対応、来客対応など、シンプルかつ体力的な負担も少ないものがほとんどのため、50代からの挑戦でもハードルは高くありません。
仕事の現場からしばらく遠ざかっていてブランクがある方でも、安心して挑戦できる職種だといえます。
製造関係
製造関係の仕事も需要が高く、経験の有無・年齢を問わず多くの求人が出ています。
業務の種類によっては体力が必要となりますが、材料の組み立てや加工、製品の検査や仕分けなど、身体的負担のかからない軽作業もあります。
同じことを繰り返す作業が多いので、一つのことにコツコツと取り組むのが得意な方におすすめです。
未経験者でも挑戦できる業界ではありますが、フォークリフト運転資格など工場勤務で活かせる資格を持っていれば、派遣先からも重宝されるでしょう。
また、夜勤をはじめとする交代勤務に対応できるなら、時給の高い案件を紹介してもらえる可能性が上がります。
50代が派遣の仕事を選ぶ際のポイント
50代の方が派遣で仕事を選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
この3つのポイントを意識して派遣先に求める条件を提示すれば、ご自身が活躍できる職場と出会える可能性を高められます。
【50代が派遣の仕事を選ぶ際のポイント】
- ポイント①仕事内容に強いこだわりを持たない
- ポイント②派遣会社のサービスを積極的に活用する
- ポイント③派遣先が自宅に近いかどうかを確認する
ポイント①仕事内容に強いこだわりを持たない
「これまでに身につけてきたスキルを活かしたい」という想いも大事ではありますが、仕事内容をこだわり過ぎると、合致する求人がどうしても限られてしまいます。
働けるチャンスを少しでも増やすためには、特定の業務に執着せず、どんな仕事でも受けるという柔軟性を持つことが大切です。
紹介された派遣先でしっかりと仕事をこなし、派遣元との信頼関係が強まれば、自身が理想とする職場を紹介してもらえる可能性も高まります。
ポイント②派遣会社のサービスを積極的に活用する
派遣会社が提供している求人紹介サービスやサポートサービスは、積極的に活用したいところです。
効率よく派遣先を探せるほか、派遣元が実施している研修を受けることで、未経験の職種に挑戦するためのスキルを身につけられる可能性もあります。
「ブランクがある私を受け入れてくれるところはあるだろうか……」と不安に思われるなら、派遣会社のサービスを積極的に活用して、実力を磨いていきましょう。
ポイント③派遣先が自宅に近いかどうかを確認する
可能な限り自宅に近い派遣先を選ぶことも、重要なポイントです。
派遣先が自宅からあまりにも遠いと、通勤だけで相当な時間がかかり、体力を消耗してしまう可能性があるためです。
通勤時間が短ければ体力の消耗を抑えられるので、自身のポテンシャルを職場で最大限に発揮できます。
また、家事や育児、介護などに充てられる時間も増やせるので、ワークライフバランスの実現も叶うでしょう。
50代の働き方として派遣とパートのどちらが合っているかは、給料や勤務時間、やりがいなどを総合的に判断して決めることが大切
派遣とパートには、給料や勤務時間など多くの点で違いがあります。
一定水準の給料を得つつ、自身のスキルを活かせるやりがいに満ちた職場をお探しであれば、派遣として働くのが最適です。
一方で、勤務時間の融通が利くことや、同じ職場で働きつづけられることを重視するなら、パートで職を探すことをおすすめします。
50代の今、どちらの働き方が自身に合っているかを一度考えたうえで、これからのライフスタイルを決めていきましょう。
「自分には派遣が合っていそうだ」と思われた方は、ぜひホットスタッフにご相談ください。
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