派遣の働き方

派遣社員は仕事を掛け持ちできる?掛け持ちする注意点も解説

副業やWワークに興味があるものの、「仕事の掛け持ちはNG」との思い込みから、なかなか踏み出せない方も多いことでしょう。

しかし派遣社員は、柔軟な働き方が可能だったはずですが、本当に仕事の掛け持ちは認められていないのでしょうか。

そこで本記事では、派遣社員が仕事を掛け持ちできるのかどうかについて解説します。
「自分に合う柔軟な働き方をしたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

派遣社員は仕事を掛け持ちできるのか?

それではさっそく、派遣社員は仕事を掛け持ちできるのか、できない場合はどのような理由があるのかについて解説していきます。

派遣社員の仕事の掛け持ちは法律的に問題ない

派遣社員の仕事の掛け持ちについて、法律的な制限はありません。

そのため派遣社員は複数の派遣会社に登録することもできますし、登録した派遣会社とは別に、ご自身で仕事を探して勤務することも可能です。

ただしここで気をつけておきたいのが、派遣会社によっては、就業規則で仕事の掛け持ちを禁止しているケースがあるということです。
この点について、以下で詳しく説明します。

派遣会社の就業規則によっては仕事を掛け持ちできない場合がある

派遣会社はなぜ、就業規則で仕事の掛け持ちを禁止しているのでしょうか。

派遣形態は“登録型派遣・常用型派遣・紹介予定派遣”の3種類に分けられますが、仕事の掛け持ちが禁止されているのが常用型派遣です。

常用型派遣は、原則フルタイムの勤務形態となります。
フルタイムでの勤務にくわえて、仕事の掛け持ちを許可すると、労働基準法で定められている労働時間を超えてしまうため、派遣会社側で制限をかけているというわけです。

一方、登録型派遣・紹介予定派遣は、労働時間を比較的柔軟に調整できるため、仕事の掛け持ちを許されているケースが、まま見受けられます。

しかし上記はあくまでも一例で、仕事の掛け持ちの許可・不許可の判断は派遣会社によって異なります。
仕事の掛け持ちをお考えの場合は、まず登録している派遣会社の就業規則や、契約内容を事前に確認することが重要です。

派遣社員が仕事を掛け持ちするメリット

ここからは、派遣社員が複数の仕事をすることで得られる3つのメリットを解説します。

もちろん、仕事の掛け持ちの是非を派遣会社に確認した結果、問題ないことが明確になった前提でご覧ください。

メリット①収入が増える

仕事を掛け持ちすれば収入源が増えるため、それに伴い得られる収入も当然増加します。

ただし仕事を掛け持ちするために、安定した仕事であるメインの仕事の労働日数や時間を減らしてしまうのは考えものです。

収入アップを目指すコツは、現在メインで働いている仕事のペースを保つことです。
たとえば今の会社で週3日働いている場合、別の職場で週2日勤務すれば、その分の収入が純増となります。

また、すでに週5日で働いている場合は、無理のない範囲で、メインの仕事の退勤後に単発の仕事を入れてみてはいかがでしょうか。

このように、今の仕事の頻度はそのままに、空き時間に別の仕事をはめ込むことで収入増を図るやり方がベストといえます。

メリット②仕事の経験を積める

ご自身のスキルアップを図れるのも、仕事を掛け持ちするメリットの一つです。

仕事を選ぶ際は、メインの仕事とはまったく別の業種・職種に挑戦することで、気分転換になりますし、ご自身の仕事の幅や人間関係も広げられるでしょう。

たとえ似たような業種・職種であっても、職場によって業務の進め方や使用するツールは異なるため、さまざまな知識やスキルを得られる機会であることは間違いありません。

また複数の仕事の経験を積み重ねれば、環境の変化に適応できる柔軟性が培われるため、次の転職の際にもプラスに働くはずです。

メリット③人脈を広げられる

仕事を掛け持ちすれば、異なる業界で人脈を築けます。

所属する職場が複数になると、おのずと出会う人の数が増えるため、現在の職場とは違った経歴を持つ人とコミュニケーションをとることができます。

仕事を通じて新たな人たちと関わり合い、さまざまな考え方や意見を吸収できれば、メインの仕事にも活かせるかもしれません。

派遣社員が仕事を掛け持ちするデメリット

仕事の掛け持ちには、いくつかのデメリットも存在します。
「今後、複数の仕事をやってみたい」とお考えの方は、以下に挙げるデメリットも念頭に置いておきましょう。

デメリット①スケジュール管理のハードルが高くなる

仕事を掛け持ちするデメリットの一つに、スケジュール管理の難しさが挙げられます。

たとえば、いずれかの仕事で突発的な業務や急なシフト変更が発生し、うまく調整できずにスケジュールのやり繰りに失敗したときは、特に大変な思いをするかもしれません。どちらを優先すべきなのか判断にモタついていたら、両方の職場に迷惑をかけるおそれもあります。

こうした事態を防ぐには、どちらかの仕事にアクシデントが発生した際の緊急連絡手段を確保しておくこと、あらかじめ余裕を持ったスケジューリングを意識することが重要です。

また、仕事のダブルブッキングが生じないよう、日頃からスケジュール管理を徹底する癖をつけるようにしましょう。

デメリット②体力的な負担が増える

仕事の掛け持ちは、一つの職場で働くよりも体力的な負担が大きくなります。

疲れている状態で無理して仕事を続けると、集中力がなくなり、周囲に迷惑をかけてしまうほか、ご自身の怪我や体調不良にもつながる可能性があります。

せっかく、「仕事を掛け持ちで頑張ろう!」と意気込んで臨んだのに、体調を崩してしまっては元も子もありません。
「もっと稼ぎたい」という気持ちはわかりますが、それも体力があっての話です。
体力に自信がない方は、仕事の掛け持ちを軽く考えないほうがよいでしょう。

どうしても複数の仕事をする必要がある場合は、なるべく体力を消耗しない仕事を選ぶか、きちんとスケジュール管理をして休息の時間を十分に確保することが大切です。

デメリット③税金や保険の管理をご自身で行わなければならない

仕事を掛け持ちするのであれば、税金や保険の管理をご自身で行う必要があります。
煩雑な手続きを苦手とする方にとっては、この点が仕事を掛け持ちするデメリットと感じてしまうかもしれません。

手続きを要する主な事項としては、掛け持ち先の収入が一定額を超え、確定申告が必要になった場合と、社会保険が二重加入になった場合の届出です。

具体的にどのような場合に確定申告や届出が必要になるのか、以下の表にまとめましたのでご覧ください。なお以下では、メインで行う仕事(本業)があると想定して、それ以外の仕事を“副業”と記載しています。

確定申告や社会保険に関する届出が必要な場合

事項ケース要否
確定申告副業の収入額が年間20万円以下の場合確定申告は不要
副業の収入額が年間20万円を超える場合確定申告が必要
社会保険派遣社員として働き、副業を個人で行う場合社会保険は派遣会社で加入
派遣社員として働き、副業を別の企業で行う場合副業先の企業でも社会保険の加入要件を満たしている場合は二重加入となるため、年金事務所への届出が必要

確定申告は、副業の収入額が年間で20万円を超える場合に行わなければなりません。
この場合、必要書類の準備や収入の計算などもすべてご自身で行います。

また社会保険については、副業先の企業でも加入要件を満たし、二重加入になってしまったときは年金事務所に対して届出が必要です。

派遣社員が仕事を掛け持ちする際の注意点

ここからは、派遣社員が仕事の掛け持ちを始めるにあたって、気をつけておきたい点を紹介します。

特にこれから仕事の掛け持ちをお考えの派遣社員の方は、内容をしっかりと把握しておいてください。

注意点①派遣会社に事前に相談する

派遣社員として働きながら仕事を掛け持ちする際は、その前に派遣会社に相談しましょう。

すでに記事内でお伝えしましたが、派遣会社によっては「仕事の掛け持ちをしてはならない」と就業規則で決められている場合があります。
そのため、事前に相談せずに自己判断で別の仕事にも就くと、就業規則違反と判断され、処分や罰則の対象になってしまうかもしれません。

派遣会社との信頼関係にひびを入れないよう、きちんと相談したうえで仕事に勤しむことが肝要です。

注意点②同じ派遣会社では掛け持ちできない

仕事の掛け持ち自体は許可されていても、同じ派遣会社で複数の派遣先に勤めることはできません。

それは、労働基準法で“労働時間は1日8時間、1週間40時間以内”と定められているためです。

派遣会社は労働基準法のもと、派遣社員の労働時間についても適切に管理しなければならず、こうした理由から同じ派遣会社が紹介する仕事の掛け持ちを制限しているのです。

注意点③休息と労働のバランスを取る

仕事を掛け持ちする際は、休息と労働のバランスが非常に大切です。

つい仕事を頑張り過ぎて、十分な休息が取れず、「体調を崩してしまった」という事態に陥るのは避けなくてはなりません。

何より優先すべきは、ご自身の健康です。
健康な身体を保ちながらハツラツと働くためにも、栄養バランスのとれた食事や良質な睡眠、適度な運動、そして無理のないスケジュール管理を心がけましょう。

派遣社員におすすめする掛け持ちにぴったりな仕事

本記事をここまでご覧いただき、「仕事を掛け持ちできるなら、自分もやってみたい!」とお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

以下ではそのような方に向けて、掛け持ちに適した仕事を紹介します。

軽作業・倉庫作業

軽作業・倉庫作業はシンプルな作業が多く、未経験者でも挑戦しやすいことから、掛け持ちにおすすめの仕事の一つです。
具体的な業務内容としては、部品の組み立てや商品の梱包、倉庫内の在庫管理などが挙げられます。

軽作業・倉庫作業は高時給の夜間の仕事や単発での求人もあるので、「効率的に収入アップを目指したい」という方は検討してみるとよいでしょう。

ただし基本的に立ち仕事なため、ある程度の体力が必要になることは認識しておきたいところです。

コールセンター

コールセンターは比較的残業が少なく、時短勤務も可能なためご自身の生活スタイルに合わせて働けるのが特徴です。

ほかの接客業よりも高い時給が設定されているケースが多く、かつ服装や髪色のルールが少ないのも人気のポイントです。

また近年では、在宅ワークに対応しているコールセンターも増えつつあるため、体力に自信がない方でも取り組みやすい仕事といえます。

販売・接客業

掛け持ちに向いている仕事として、シフト制が多く、スケジュールを調整しやすい販売・接客業も挙げられます。

販売・接客業は、お客様に積極的に声がけするコミュニケーション能力や、丁寧な対応ができるスキルが求められるため、人と話すことが好きな方はやりがいを感じられるでしょう。

繁忙期のあいだのみの短期間の求人もあるので、接客スキルを上げたい方はぜひチャレンジしてみてください。

よくある質問(FAQ)

ここまでの内容を踏まえて以下では、派遣社員の仕事の掛け持ちに関する疑問について、よくある質問形式でまとめました。

本記事の振り返りとしてご一読ください。

派遣社員は仕事を掛け持ちできるの?

派遣社員の仕事の掛け持ちを制限する法律はないため、派遣社員は複数の仕事をすることができます。

ただし派遣会社によっては、就業規則で仕事の掛け持ちを禁止している場合があるので、事前に確認しておく必要があります。

同じ派遣会社で仕事を掛け持ちしてもよい?

同じ派遣会社で仕事を掛け持ちすることは、基本的にできません。

ですが、派遣会社によっては例外的に許可している可能性があるので確認してみるとよいでしょう。

仕事を掛け持ちするとき確定申告や社会保険、雇用保険の管理はどうする?

確定申告は、副業の収入額が年間20万円を超える場合にご自身で行います。

また社会保険・雇用保険に関しては、メインの仕事(本業)の企業で加入するのが一般的です。

ただし社会保険については、副業先の企業でも加入要件を満たすと、二重加入になってしまうため年金事務所への届出が必要です。

派遣社員の仕事の掛け持ちを制限する法律はない!ただし派遣会社への事前の確認が必須

今回は、派遣社員が仕事を掛け持ちできるのかどうか、また掛け持ちする際の注意点について解説しました。

派遣社員は、仕事の掛け持ちについて法律で制限されていないため、複数の派遣会社に登録することもできますし、ご自身で仕事を探して勤務することも可能です。

ただし派遣会社によっては、就業規則で仕事の掛け持ちを禁止している可能性があるので、就業規則違反とならないよう事前の確認・相談が大切です。

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