派遣社員として働くうえで、契約期間、つまり「同じ派遣先企業でどの程度長く働けるのか」は気になるところです。
実は、契約期間はケースバイケースで異なり、さらにその上限は派遣の種類ごとに定められています。
本記事では、派遣契約の期間を種類別に解説しますので、派遣社員として長く安定して働くために、ぜひ参考にしてください。
目次
派遣の種類
派遣には、“労働者派遣”と“無期雇用派遣”、“紹介予定派遣”の3つの種類があります。
まずは、それぞれの特徴を以下で確認しましょう。
【派遣の種類ごとの特徴】
| 派遣の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 労働者派遣 | 派遣会社と有期雇用契約を結び、派遣先企業で就業する派遣先企業との契約期間が満了となった場合、派遣会社との契約も終了し、新たな派遣先が見つかり次第再度契約する |
| 無期雇用派遣 | 派遣会社と無期雇用契約を結び、派遣先企業で就業する派遣先企業との契約期間が終了してから次の派遣先が見つかるまでのあいだも、派遣社員と派遣会社の契約は継続される |
| 紹介予定派遣 | 派遣先企業で派遣社員として一定期間働いたあと、派遣社員と派遣先企業の双方に合意があれば、直接雇用に切り替える正社員として登用されるとは限らず、契約社員やパート、アルバイトとなる場合もある |
派遣の種類によって契約内容が異なるため、ご自身のキャリアプランに沿った働き方を選ぶことが大切です。
【種類別】派遣の契約期間は?
派遣の種類ごとの特徴を踏まえて、本項ではそれぞれの契約期間を詳しく紹介します。
【派遣の種類ごとの契約期間】
- 労働者派遣の場合
- 無期雇用派遣の場合
- 紹介予定派遣の場合
労働者派遣の場合
労働者派遣の契約は、3~6か月単位で更新される場合がほとんどです。
契約期間満了の1か月前までに、派遣会社の担当者が派遣社員と派遣先企業の双方の意思を確認し、契約を更新するかどうかを判断します。
なお、労働者派遣法では「同じ職場・部署で働ける期間は最長3年まで」と定められています。
契約期間に上限を設けることで、派遣会社との無期雇用や派遣先企業との直接雇用を促し、派遣社員のキャリアアップの推進や雇用の安定を図るためです。
さらに、労働者派遣では日雇い労働も禁止されており、最短でも31日以上働く必要があります。
参照元:厚生労働省「民法第三十五条の三」
労働者派遣の契約期間の例外
先述の通り、労働者派遣では同じ職場・部署で働ける期間が3年未満と定められています。
ただし、以下の条件を一つでも満たす場合は、3年以上働くことが可能です。
【派遣社員として同じ職場・部署で3年以上働ける方】
- 有期のプロジェクトに従事する方
- 契約から3年経過した時点で満60歳以上の方
- 勤務日数の限られた業務を担当する方
- 育休や介護休業を取得した社員の代替業務を担当する方
上記のほか、派遣の契約期間にはもう一つ注意したいポイントがあります。
基本的に派遣先企業との契約期間は31日以上設ける必要がありますが、以下に該当する方はより短期間の契約を結ぶことができます。
【31日未満の契約が例外的に認められる方】
- ソフトウェア開発をはじめとする特定の業務に従事する方
- 満60歳以上の方
- 雇用保険が適用されない学生の方
- 生業の収入が500万円以上で副業として派遣される方
- 世帯収入が500万円以上の主たる生計者以外の方
ご自身の契約期間の制限に関しては、派遣会社の担当者に聞くと、より詳しい説明を受けられるでしょう。
無期雇用派遣の場合
無期雇用派遣では、派遣社員と派遣会社が結ぶ契約に期限がありません。
そのため、派遣先企業との契約期間が終了したあとも、派遣会社との契約は継続します。
派遣先企業との契約は3~6か月単位で更新されますが、期間に上限はなく、契約が更新される限り同じ職場・部署で働きつづけることが可能です。
さらに、無期雇用派遣の場合は日雇い労働が認められており、派遣先企業と31日未満の契約を交わすことができます。
紹介予定派遣の場合
紹介予定派遣として働く場合、派遣社員の契約期間は最長6か月と定められています。
派遣契約の期間が終了したら、派遣社員と派遣先企業の双方の合意のもと、正社員や契約社員などに登用される仕組みです。
なお、6か月を超えて派遣の契約期間を延長することはできず、直接雇用に至らなかった場合、その時点で契約は終了します。
また、紹介予定派遣では「最低○か月働かなければならない」という取り決めは存在しません。
しかし、派遣先企業の業務内容や職場の雰囲気がご自身に合うかどうかを判断するためには、ある程度の契約期間が必要となります。
派遣契約の満了が近づいた際の選択肢
派遣の種類ごとの契約期間がわかったところで、「契約期間の満了が近づいたらどうすればいいの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
その際は、ご自身がどのように働きたいのかを考えて、契約期間が終了する前に今後の進路に向けて動き始める必要があります。
本項では、契約期間の満了が近づいた際の6つの選択肢を紹介しますので、今後のキャリアプランを立てるためにぜひお役立てください。
【派遣の契約期間満了日が近づいてきた際の選択肢】
- 派遣契約を更新する
- 同じ派遣先の他部署へ異動する
- 無期雇用派遣に変更する
- 派遣先企業の直接雇用に変更する
- クーリング期間を経て同じ派遣先の同じ部署で働く
- 派遣契約を終了する
派遣契約を更新する
「今後も同じ職場で働きつづけたい」とお考えの方は、派遣先企業の同意があれば契約を更新できます。
ただし、契約を更新できるのは、現在労働者派遣の契約を結んでおり、期間が3年未満の場合か、無期雇用派遣の場合のみです。
一般的に3~6か月単位で契約更新の機会があり、派遣社員と派遣先企業の双方が合意すると契約期間が延長されます。
そのため、日頃から業務の効率化を意識し、成果を上げてご自身の働きぶりを評価してもらうことが大切です。
派遣の契約更新は、契約期間満了日の1か月ほど前に、以下の流れで行われます。
【派遣の契約更新の流れ】
- 派遣社員が派遣会社から更新の意思を確認される
- 派遣会社が派遣先企業に更新の意思を確認する
- 派遣会社によって契約が更新されるかどうかが決定される
- 契約が更新される場合は必要な手続きを行う
契約更新に伴い、時給や勤務時間などの条件が変更される可能性があるため、派遣会社の担当者に事前に確認してください。
その際に、ご自身の希望する雇用条件があれば、派遣会社から派遣先企業に伝えてもらうことができます。
同じ派遣先の他部署へ異動する
労働者派遣として同じ派遣先企業で3年以上働きつづけたい場合は、他部署に異動するという選択肢もあります。
労働者派遣では、「同じ職場・部署で働けるのは最長3年まで」と法律で定められていますが、部署を異動すれば追加で3年間働くことができます。
部署異動を希望する場合は、派遣会社の担当者になるべく早く相談しましょう。
派遣会社の担当者が派遣先企業の意思を確認し、合意を得られれば部署を異動できます。
ただし、部署によって業務内容は大きく異なるため、異動することでこれまでに培ったご自身のスキルを活かせず、業務に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。
今後のキャリアプランを踏まえて、派遣会社の担当者と相談しながら、部署を異動するかどうかを慎重に考えることが大切です。
無期雇用派遣に変更する
労働者派遣の場合、契約更新を機に、無期雇用派遣に変更する方法もあります。
無期雇用派遣であれば、同じ職場・部署で3年以上働くことが可能です。
派遣会社と5年以上契約している方は、“無期転換ルール”を利用して無期雇用派遣に変更できます。
無期転換ルールとは、派遣会社との契約期間が通算5年を超えている場合、契約期間内に派遣社員が希望すれば、無期雇用派遣に切り替えられる制度のことです。
これは労働者派遣法で定められている制度であるため、派遣会社から切り替えを断られることはありません。
なお、契約期間が5年未満でも、派遣会社からの合意が得られれば無期雇用派遣に切り替えられる可能性があります。
無期雇用派遣への変更を希望する方は、契約期間中に派遣会社の担当者に相談しましょう。
派遣先企業の直接雇用に変更する
派遣先企業から直接雇用してもらえれば、今後も同じ職場で働きつづけることができます。
直接雇用を希望する場合は、契約期間満了日の1か月前までに派遣会社の担当者に相談しましょう。
派遣会社の担当者が派遣先企業の意思を確認し、合意があれば直接雇用に切り替えてもらえます。
なお、必ずしも正社員として登用されるとは限らず、契約社員やパート、アルバイトとして雇用される可能性もあります。
雇用形態ごとに条件が異なるため、事前に確認することが重要です。
また、企業によっては、面接やレポートなどの社員登用試験を実施することもあります。
ご自身の志望動機を明確に伝えられるよう、派遣会社の担当者からのアドバイスを受けて対策するとよいでしょう。
クーリング期間を経て同じ派遣先の同じ部署で働く
労働者派遣で、派遣先企業との3年の契約期間が満了した場合でも、3か月と1日以上の期間を空ければ、同じ職場・部署でさらに3年間働くことが可能です。この空白期間を、クーリング期間といいます。
クーリング期間を経て復職する際は、社会保険に再度加入する必要があり、有給休暇の日数もリセットされます。
なお、クーリング期間は労働者派遣法で定められた制度です。
派遣社員がこの期間中に同じ職場・部署で業務を行った場合、派遣会社や派遣先企業が罰則を受ける可能性があります。
そのため、クーリング期間を空けて同じ職場への復職を希望する方は、派遣会社の担当者のアドバイスを受けながら、慎重に計画することが大切です。
派遣契約を終了する
派遣社員と派遣先企業のいずれかが契約の更新に合意しなかった場合、契約期間満了日をもって退職することとなります。
派遣社員が契約の更新を断る際は、契約期間満了日の1か月前までに、派遣会社の担当者に伝えましょう。
派遣社員の退職に伴い、派遣先企業は後任の確保や業務の引き継ぎが必要となるため、「更新しない」と決めたら早めに伝えることが望まれます。
一方、派遣先企業が契約更新を希望しない場合は、契約期間満了日の1か月前までに派遣会社の担当者から契約終了の連絡があります。
この連絡を受けたら、契約期間中でも次の派遣先企業を探すことが可能です。
ご自身の希望に合う次の職場を見つけるために、契約の終了が決まったら、派遣会社の担当者に早めに相談することをおすすめします。
派遣の契約期間中に解約されるケース
派遣社員は法的な契約に基づいて派遣されるため、契約期間中に派遣先企業から解約されることは基本的にありません。
しかし、特別な事情で、契約期間中に解約の意向を伝えられるケースがあります。
たとえば、派遣先企業の予期せぬ経営難により、派遣の受け入れを継続することが難しくなった場合です。
また、「無断欠勤や遅刻が多い」「指示された業務を全く行わない」など、派遣社員の勤務態度が著しく悪い場合も、契約が解除される可能性があります。
派遣先企業から解約の申し入れがあれば、およそ1か月後には退職することになります。
なお、不可解な理由で解約された際は、信頼できるほかの派遣会社を探す、もしくは弁護士に相談するといった対応も必要です。
派遣の契約期間中の退職が可能になるケース
派遣社員には、原則として契約期間満了日まで職務を全うする義務があります。
ただし、民法628条では、やむを得ない事情がある場合に限り、契約期間中の退職が可能となることが明記されているのです。
以下のような事情がある場合に限り、契約期間中でも退職が認められます。
【やむを得ない事情に該当するケース】
- 契約内容にない業務を指示された場合
- 派遣先企業でハラスメントを受けた場合
- 家族の介護で働く時間が制限される場合
- 急病や怪我などで勤務を継続できない場合
これらのケースに該当し、退職を希望する方は、派遣会社の担当者に事情を説明しましょう。
派遣先企業と調整し、退職の手続きをスムーズに進めてもらえます。
派遣社員として長期的に働くためのポイント
派遣社員として働くことを検討するなかで、「同じ職場で長く働きたい」「長期的にキャリアアップを目指したい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
本項では、派遣社員として長く安定的に働くためのポイントを紹介します。
【派遣社員として長期的に働くためのポイント】
- ポイント①長期的なキャリアプランを形成する
- ポイント②派遣先企業からの信頼を得る
- ポイント③派遣会社の担当者からサポートを受ける
ポイント①長期的なキャリアプランを形成する
派遣社員として働く際は、目の前にある仕事に取り組むだけでなく、将来に向けた目標をもつことが大切です。
ご自身にとって関心のある業種や職種、理想の働き方が明確になると、仕事選びの方向性や習得すべきスキルが具体的にわかるようになります。
なお、キャリアプランを立てる際は、派遣会社の担当者からアドバイスを受けるのがおすすめです。
ご自身の希望に合った、安定して働けるキャリアプランの形成をサポートしてくれるでしょう。
ポイント②派遣先企業からの信頼を得る
同じ派遣先企業で長く働くためには、職場の上司や同僚からの信頼を得ることが重要です。
就業中は、常に好印象を与えられるようハキハキとあいさつし、ほかの社員の方々と同様に身だしなみやビジネスマナーに気をつけましょう。
また、派遣先企業の業界や業務に関して必要な知識を身につけて、スキルアップを目指すことも大切です。
仕事に対して真摯に取り組む姿勢を評価してもらえれば、更新につながる可能性が高くなり、業務の幅が広がることも期待できます。
ポイント③派遣会社の担当者からサポートを受ける
長期的に派遣社員として働くなら、派遣会社のサポートも欠かせません。
そのため、サポート体制の充実している派遣会社を選ぶことが大切です。
たとえばホットスタッフの場合、就業開始当日に担当者が職場まで同行し、新しい環境への緊張や不安を取り除くためのフォローを受けられます。
また、就業開始後も担当者が職場を定期的に訪問するため、業務に関して困りごとがあればいつでも相談できます。
ご自身の不安や悩みに寄り添ってくれる派遣会社を選ぶことで、安心して業務に取り組めるでしょう。
派遣の契約期間は、派遣の種類によって異なる
派遣契約には、労働者派遣と無期雇用派遣、紹介予定派遣があります。
労働者派遣は、3~6か月単位で契約が更新され、同じ職場・部署で働ける期間は最長3年までと定められています。
無期雇用派遣では、派遣会社との契約に期限がなく、派遣先企業との契約が更新される限り、同じ職場・部署で働きつづけることが可能です。
また、紹介予定派遣の場合、派遣社員としての契約期間は最長6か月と決められています。
それぞれの特徴を踏まえて、ご自身に合う派遣契約を選ぶことが大切です。
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