人材派遣を利用する際、“マージン率”という言葉を目にしたことはないでしょうか。
マージン率は、派遣料金に占めるマージンの割合を指し、派遣会社によって異なります。
本記事では、派遣の利用を検討する企業のご担当者さまや派遣社員に向けて、マージン率の内訳や相場、確認方法をわかりやすく解説します。
目次
派遣会社のマージン率とは?
マージン率とは何かを説明する前に、まずはマージンについて整理しておきましょう。
派遣会社のマージンとは、派遣料金全体のうち、派遣社員に支払う賃金を除いた金額を指します。
そのマージンには、派遣会社の利益だけでなく、雇用主として負担する社会保険料や有給休暇費用、また派遣社員のスキル向上を支える教育訓練費用なども含まれています。
マージン率とは、このマージンが派遣料金に占める割合のことです。
なお、マージン率は派遣会社によって異なりますが、低いほど派遣先企業のコストが軽くなるとは限らないため、サポート体制や教育制度とあわせて比較することが大切です。
派遣会社のマージンの内訳
前述の通り、マージンには派遣会社の利益以外にも、さまざまな費用が含まれています。
ここからは、主なマージンの内訳を見ていきましょう。
派遣会社のマージンの内訳
- 社会保険料
- 有給休暇費用
- 教育訓練費用
- 会社運営費用
- 営業利益
社会保険料
派遣社員の健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険といった社会保険料は、マージンから支払われます。
一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると、派遣料金の約10.9%が社会保険料に充てられており、派遣会社のマージンのなかでも大きな割合を占めていることがわかります。
これらはすべて、派遣社員が将来にわたり安心してキャリアを継続するための重要な原資となるものです。
有給休暇費用
派遣社員が年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金も、派遣先企業ではなく雇用主である派遣会社のマージンから充当する仕組みになっています。
この費用は、派遣社員の労働者としての権利を保護しつつ、心身ともにリフレッシュして業務に臨んでもらうために欠かせません。
また、派遣先企業にとっては、有給休暇取得時の費用を負担することなく、派遣社員の福利厚生を保障できます。
このように、派遣社員のための費用も、マージンのなかで適切に管理され、運用されているのです。
教育訓練費用
派遣社員のスキル向上やキャリア形成を支援するための教育訓練費用も、マージンに含まれる費用の一つです。
労働者派遣法では、派遣会社に対して段階的かつ体系的な教育訓練の提供が義務付けられています。
特に、製造業などの専門分野では、安全性や品質を維持するための研修が行われています。
こうした教育への投資が十分に行われている派遣会社を選ぶことで、派遣先企業は即戦力となる優秀な人材を確保できるわけです。
さらに、派遣会社がマージンの一部を教育訓練に充て、派遣社員のスキルが向上すれば、結果として派遣先企業の生産性を高めることにもつながります。
参照元:厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針p6」
参照元:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第三十条の二」
会社運営費用
オフィスの賃料や採用広告費、さらには営業担当者の人件費といった、派遣会社の運営費用もマージンに含まれます。
これらの費用は、派遣会社が質の高いサービスを安定的に提供しつづけるために不可欠です。
また、適切な人材を募集し、派遣先企業に紹介するマッチング体制やシステム管理を維持するための原資としても活用されています。
したがって、会社運営費用が正しく使われている派遣会社は、人材の確保やサポート体制が良好である可能性が高いといえるでしょう。
営業利益
マージンから社会保険料や会社運営費用などの支出を差し引いたあと、最終的に残る金額が派遣会社の営業利益となります。
日本人材派遣協会の調査結果を見ると、派遣料金に占める営業利益の割合は平均してわずか1.2%程度であり、派遣事業は決して利益率が高いビジネスとはいえません。
マージン率だけを見ると、多額の利益を得ているように誤解されがちですが、実際にはその大部分が派遣社員の待遇改善や事業継続のための経費として使用されているのです。
派遣会社のマージンに含まれない費用
派遣会社が人材を確保するための採用広告費や登録時の面接にかかるコストは、派遣先企業が直接支払う費用ではなく、派遣会社の運営費用となります。
派遣先企業は、派遣社員の実働時間に応じた料金を支払う仕組みです。
さらに、派遣社員の家族手当や住宅手当もマージンには含まれませんが、自社の正社員に対してこれらを支給している場合、個別での対応を求められる可能性があります。
なぜなら、労働者派遣法によって、雇用形態の違いを理由に不合理な待遇差をつけてはならないと定められているからです。
もし派遣社員に正社員と同等の手当を支給する場合は、賃金として派遣料金に上乗せするか、別途清算する必要があります。
参照元:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第三十条の三」
マージン率の計算方法
マージン率は、派遣先企業が支払う派遣料金の平均額から派遣社員の賃金の平均額を差し引き、その金額を派遣料金の平均額で割ることで算出できます。
なお、ここでいう派遣料金と賃金の平均額は、事業所ごとに派遣社員1人1日8時間あたりの額として算出したものです。
具体的な計算例は、以下をご確認ください。
マージン率の計算方法
| 金額(例) | 備考 | |
|---|---|---|
| 派遣料金の平均額(A) | 10,000円 | 1人1日8時間あたりの平均 |
| 派遣社員の平均賃金(B) | 7,000円 | 1人1日8時間あたりの平均 |
| マージン額(A-B) | 3,000円 | サポート・運営管理費等 |
| マージン率 | 30% | (A-B)÷A×100 |
上記は、1日あたりの派遣料金の平均を10,000円、平均賃金を7,000円に設定して算出したケースです。
この差額となる3,000円が、派遣社員の社会保険料や福利厚生費用、派遣会社の運営費用などに充てられます。
マージン率の数値だけでなく、サポート体制や教育体制の充実度もあわせて確認し、自社にとって最適なパートナーとなる派遣会社を見極めることが重要です。
マージン率の相場
厚生労働省のデータによると、30%前後で推移していたマージン率ですが、近年、緩やかに上昇し、直近では36.1%となっています。
この背景には、社会保険料の負担増や教育訓練費用の増大など、派遣会社が負担する費用の増加があると考えられます。
しかし、この相場は職種や地域だけでなく、派遣会社が提供するサポート内容によっても大きく変動するため、単純な数値の高低だけで判断しないことが大切です。
参照元:厚生労働省「マージン率等の情報提供についてp2,4」
参照元:厚生労働省「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)p1」
派遣会社のマージン率を確認する方法
マージン率は、各派遣会社の公式ホームページやパンフレットで直接確認できます。
2012年の労働者派遣法の改正によって、派遣会社は派遣社員や派遣先企業の数、またマージン率などの情報を提供することが義務付けられました。
なかでもマージン率は、インターネットを通じて常時公開し、広く関係者、とりわけ派遣社員へ情報提供することが原則とされています。
もし公式ホームページがない場合でも、厚生労働省の“人材サービス総合サイト”を活用すれば、事業所ごとのマージン率や派遣料金の平均額を簡単に閲覧できます。
公開情報を活用することで、教育体制や福利厚生の充実度を客観的に比較し、自社に最適な派遣会社を見極められるでしょう。
マージン率以外で注意したい派遣会社選びのポイント
企業・派遣社員に限らず、派遣会社を選ぶ際はマージン率の低さだけで判断しないことが大切です。
マージン率が極端に低い場合、必要な費用がどのように配分されているのかを確認する必要があります。
たとえば、派遣社員のサポートや教育体制などが十分に整っていないと、結果としてトラブルの発生や離職につながるおそれもあるわけです。
派遣会社を選ぶ際には、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
派遣会社を選ぶ際のポイント
- ①労働者派遣事業許可証の有無
- ②セキュリティ対策の水準
- ③サポート体制の充実度
- ④派遣社員の登録数
- ⑤対応エリアの範囲
①労働者派遣事業許可証の有無
派遣会社を選ぶ際にまず確認しておきたいのが、厚生労働省から交付される“労働者派遣事業許可証”の有無です。
労働者派遣事業の許可を受けていない派遣会社から派遣社員を受け入れることは、労働者派遣法で禁止されています。
万が一、無許可の派遣会社から派遣社員を受け入れた場合、派遣先企業が直接雇用したとみなされる“労働契約申込みみなし制度”の対象となるリスクもあります。
また、派遣社員にとっても、適法に事業を行っている派遣会社かどうかを確認することは、安心して就業するための重要なポイントです。
トラブルを避けるためにも、派遣会社の公式ホームページや厚生労働省の“人材サービス総合サイト”で事前に許可番号を確認しておきましょう。
派遣を安定的に活用するには、こうした事前の確認が重要です。
参照元:厚生労働省「労働契約申込みみなし制度についてp1,2」
②セキュリティ対策の水準
企業のコンプライアンス遵守が厳しく問われるなか、派遣会社のセキュリティ対策の水準も重要な選定ポイントです。
特に、個人情報や機密情報を適切に管理する体制が整っているかを確認しましょう。
客観的な指標としては、個人情報の保護体制を証明する“プライバシーマーク”や、情報セキュリティの国際規格である“ISO27001”などの認証取得状況が参考になります。
これらの認証を持つ派遣会社は、情報の漏洩トラブルを未然に防ぐ仕組みが整っている可能性が高く、派遣先企業・派遣社員ともにリスクの軽減につながります。
派遣会社を選ぶ際は、マージン率の数値だけでなく、安全管理への取り組みに対する姿勢にも目を向けましょう。
③サポート体制の充実度
派遣社員が安定して業務に取り組むためには、派遣会社の担当者による就業後のフォロー体制も欠かせません。
定期的に派遣先企業を訪問し、派遣社員の就業状況や職場環境に問題がないかを確認する体制があるかをチェックしましょう。
くわえて、担当者のレスポンスの早さや、トラブル発生時の迅速な対応も派遣社員が安心して働くために不可欠です。
また、マージンの一部は教育訓練費用に充てられており、段階的かつ体系的な研修やキャリアコンサルティングが用意されているかも重要です。
手厚いフォロー体制や教育制度が整っている派遣会社を利用することで、派遣社員が安定して就業しやすくなります。
④派遣社員の登録数
派遣会社に登録している派遣社員の数も、自社のニーズに合致した人材を確保するために確認しておきたいポイントの一つです。
登録人数が多いほど、幅広い職種や専門性の高い業務に対応できるので、急な欠員でも新たな候補者を確保しやすくなります。
また、多くの人材を抱える派遣会社にはマッチングのノウハウも蓄積されている可能性が高く、より質の高いサービスの提供が期待できます。
ただし、単に登録数が多いだけでなく、IT・製造・事務など自社が求める分野でどれだけ豊富な人材がいるか、専門性と強みを見極めることも重要です。
マージン率とあわせて、自社の課題解決に最適な人材が数多く在籍している派遣会社を選びましょう。
⑤対応エリアの範囲
派遣会社を選ぶ際は、紹介エリアの範囲や、その地域での対応力も確認しておきましょう。
たとえば、全国に拠点を持つ派遣会社は広域での人材紹介に強みがあり、複数の事業所や支店を持つ企業であっても、一括して依頼できます。
一方、地域密着型の派遣会社は、そのエリア固有の労働市場や賃金相場を把握しているため、企業のニーズに応じたよりきめ細かなサポートが期待できます。
特定の地域で採用を強化したい場合は、そのエリアの拠点数や地元企業との取引実績を参考にするとよいでしょう。
自社の事業展開に合わせて安定的に人材を紹介しつつ、フォロー体制が整っている派遣会社を選ぶことが大切です。
派遣会社のマージン率とは、派遣料金に占める賃金以外の費用の割合のこと
派遣会社のマージン率とは、派遣料金から派遣社員の賃金を除いた費用が占める割合のことです。
マージンには、派遣会社の利益だけでなく、派遣社員の社会保険料・有給休暇費用・教育訓練費用・会社運営費用なども含まれます。
そのため、マージン率は数値の高低だけで判断せず、内訳やサポート体制、教育制度を含めて比較することが大切です。
派遣の活用を検討されている企業のご担当者さまや、これから派遣会社への登録を検討される方は、ホットスタッフまでご相談ください。
常にクライアントや派遣社員の目線に立ち、人材の活用やお仕事のスタートを万全の体制でバックアップいたします。