
現在、日本の労働人口の約15%が製造業に従事しています。
しかしひと口に製造業といっても、その種類は多岐にわたるため、具体的なイメージが湧きにくい方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、製造業の業種や年収などをわかりやすく解説します。
ものづくりに関わる仕事に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
製造業とはどのような仕事?
製造業とは、製品を作り出すことを主な業務とする企業・業界全般を指します。
生産される製品は、食料品や自動車、建材など多岐にわたり、私たちの暮らしに欠かせないものばかりです。
また、総務省統計局が実施した『労働力調査』によると、日本の労働力人口6,796万人のうち、1,000万人以上が製造業に就業しています。
このデータから、製造業は日本の経済を支えている産業ともいえるでしょう。
参照元:総務省統計局「令和7年4月分 労働力調査(基本集計)」
製造業の主な業種
ここからは、製造業の代表的な業種を7つ紹介します。
業種①機械関連
機械関連では、機械製品の設計や生産、組み立てなどに関わる業種です。
自動車や家電製品などの身近なものから、工業機械や研究装置といったあまりなじみのないものまで、あらゆる機械が製造されています。
また、近年では業務効率化を目的に、産業用ロボットを活用する企業も増えており、工程の自動化が進んでいるのが大きな特徴です。
業種②鉄鋼・金属関連
鉄鋼・金属関連の製造業では、パソコンのきょう体や自動車のボディ、住宅のサッシなど、さまざまな製品の部品や構造材となる金属素材を生産しています。
製品の用途に応じて、金属の種類が使い分けられており、社会のインフラを支える重要な役割を担っています。
日本はこの分野で高い技術力を有しており、鉄鋼・金属製品の生産量は世界でもトップクラスです。
国内の製造業全体を根幹から支える、欠かせない業界といえるでしょう。
業種③電気機器関連
電子機器関連では、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器と、それらに使用される電子部品・電子デバイスを製造しています。
この分野は技術革新のスピードが非常に速く、グローバル競争が激しいのが特徴です。
常に最先端の技術に携わりたい方にとっては、とてもやりがいのある業種といえます。
業種④化学製品関連
“化学製品”と聞いても、具体的どのようなものかをイメージしにくいかもしれません。
しかし実際には、紙やゴム、合成繊維、肥料、洗剤など、身の回りにあるさまざまな製品を製造しています。
この分野では、原材料の調達から製品の生産までを一貫して行う企業が多く、高い専門性と効率性が求められるのが特徴です。
そのため、化学系の知識だけでなく、設備の運用や生産ラインの設計などに関する知識を持っていると、幅広く活躍できるでしょう。
業種⑤食料品関連
食料品関連では、お菓子や調味料、加工食品など、私たちが普段口にする食品を製造しています。
“食”は人々の生活に欠かせないため、景気の影響を受けにくい、安定性のある業界といえます。
また、ご自身が携わった製品をコンビニやスーパーで目にすることもあるため、仕事の成果をより身近に感じられる点も大きな魅力です。
業種⑥建築・住宅関連
建築・住宅関連は、建造物の建築から、それに必要な資材の製造まで、取り扱う領域が多岐にわたります。
近年ではリフォーム需要の高まりに伴い、顧客のニーズに応じてサービスや対応の幅を広げるなど、企業の在り方も変化しています。
建築・住宅と聞くと、建築に特化した知識が求められる印象がありますが、実際は資材の研究・開発から製造・組み立てに至るまでにさまざまな工程が必要です。
そのため、建築系に限らず、機械系や化学系といった、幅広い分野の人材も活躍できるでしょう。
業種⑦医薬品関連
医薬品関連の製造業では、病院で処方される薬やドラッグストアで販売される市販薬を製造します。
製造だけでなく、新薬の研究開発や臨床試験にも取り組んでおり、業務領域が幅広い点が特徴です。
医薬品は、人々の健康を支えるうえで欠かせないため、やりがいの大きな仕事をしたい方にぴったりです。
また、最近では協働ロボットを導入する医薬品メーカーも増えてきており、今後はさらなる自動化が期待されています。
製造業の工程
製造業における工程は、上流・中流・下流の3つに分類されます。
それぞれの役割と作業内容を把握しておきましょう。
上流工程
製造業の起点となるのが上流工程です。
この工程では、製品を形作る基礎となる素材の生産が行われます。
具体的には紙や木材、ゴム、樹脂、繊維、化学素材など、さまざまな分野で必要とされる原材料です。
素材の供給はものづくりの土台であり、品質や供給の安定性はその後の工程に大きな影響を及ぼします。
中流工程
中流工程では、上流工程で生産された素材を用いて、製品に必要な部品やユニットを製造します。
この工程では、精密な加工や成形、調整が求められるため、高度な技術力が必要とされるケースも少なくありません。
中流工程に位置する企業としては、タイヤメーカーや電子部品メーカーなどが代表的で、製造業における企業間取引の中核を担っています。
下流工程
下流工程は、製品を最終的な形に仕上げ、消費者の手に届く状態にする工程です。
中流工程で作られた部品やユニットを組み立て、完成品へと仕上げていきます。
実際に製品を形にするため、CMで社名が掲載されることもあります。
これは、メーカーが自社のブランドイメージを向上させたり、顧客に製品をアピールしたりするために、よく行われている戦略です。
製造業の主な職種
続いて、代表的な職種とそれぞれに求められるスキルをチェックしていきましょう。
職種①商品企画
商品企画は、市場のトレンドや消費者のニーズを分析し、新商品のアイデアを立案する仕事です。
既存商品のリニューアルを企画することもあり、時代の変化を的確に捉える柔軟な発想力が求められます。
また、アイデアを実現可能なものにするためには、統計やデータ分析に基づいた論理的な思考力も欠かせません。
自ら手がけた商品がヒットしたときには、大きな達成感とやりがいを味わえるでしょう。
職種②研究・開発
研究・開発とは、新しい技術や素材を活用して、新商品を生み出したり、既存の商品を改善したりする職種です。
試作品の作成や性能のテストを何度も重ねながら、より高品質な製品の実現を目指します。
また、品質の向上だけでなく、コストの削減や生産効率の向上を目指した研究を行う場合もあります。
研究・開発では、自社製品に関連する分野の専門的な知識と、長期間の研究に取り組む忍耐力が不可欠です。
職種③設計
設計は、商品企画で生まれたアイデアを図面に落とし込み、仕様や機能などを具体化していく職種です。
主にCADとよばれるソフトウェアを活用して、部品の接続方法や寸法などを詳しく決めていきます。
設計図は、そのまま製造工程に反映されるため、どこまで実現可能かを見極めながら作成することが重要です。
そのため、最新テクノロジーや活用可能な材料、加工技術への理解が欠かせません。
限られた条件下でも最適な選択肢を導き出し、現実的に製品化できる設計に落とし込むことが、設計職の役割となります。
職種④製造(生産技術・製造技術)
製造は、実際に部品を組み立てたり、製品を生産したりする工程を担う職種です。
生産性を向上させるため、製造現場の作業員と連携しながら、生産ラインの見直しや工程の改善を行います。
また、製造現場でトラブルが発生した際には迅速に対応し、原因を分析して再発防止策を講じるのも重要な役割の一つです。
そのため、対応力や問題解決力にくわえ、現場をまとめるマネジメント力も求められるでしょう。
職種⑤生産管理
生産管理では、営業が獲得した案件の納期やシーズンごとの需要をもとに、最適な生産計画を立て、製造の進行をコントロールします。
「いつまでに、どの商品を、どの工場で、どれだけ生産するか」を検討し、製品を滞りなく顧客に届けられるように調整するのが主な業務です。
企業によっては、原材料の調達や在庫管理も担当することとなります。
これらの役割を果たさなければ、必要な時期に製品を用意できず商機を逃したり、納期遅延によって取引先の信頼を損ねたりするリスクもあります。
先を見通して労働力や資源を的確に配分し、各部門と連携しながら進捗を管理するためには、優れたマネジメント力とコミュニケーション力が欠かせません。
職種⑥営業販売
営業販売は、新規顧客の獲得や既存顧客との関係維持を担う、取引先との窓口となる職種です。
製造業における営業は、まだ取引のない企業に製品を提案する“新規営業”と、既存顧客への新商品の紹介や販売を行う“ルート営業”の2つに分けられます。
社外の方と接する機会が多いため、高いコミュニケーション力や提案力が不可欠です。
製品の魅力を伝え、継続的な納品先を確保することで、製造業の存続と成長を支える重要な役割を果たしています。
製造業の収入・平均年収
日本の経済を支える製造業ですが、その給与水準が気になる方も多いのではないでしょうか。
国税庁が公表した『民間給与実態統計調査』によると、国内の労働者全体の平均年収は460万円となっています。
これに対し、製造業の平均年収は以下の通りです。
【製造業における年齢別の平均年収】
年齢 | 平均年収 |
20代 | 296万~351万円 |
30代 | 401万~454万円 |
40代 | 501万~530万円 |
50代 | 564万~577万円 |
製造業では、専門的なスキルや知識を持つ人材は企業から高く評価されます。
そのため、継続的なキャリアアップを通じて、自身の市場価値を高めることで、さらなる年収の向上を目指せるでしょう。
製造業に向いている方の特徴
最後に、製造業に向いている方の特徴を紹介します。
ご自身の性格や強みと一致しているかをチェックしてみてください。
ものづくりが好きな方
製品の構造や製造工程など、“ものづくり”に関心がある方は、製造業が適職といえるでしょう。
製造の現場では最新の技術や機械が導入されることも多く、新たな知識やスキルを身につけたい方にも最適です。
また未経験からのスタートでも、製造に関する技術や知識を学ぶ姿勢があれば、着実にキャリアを築けます。
集中力がある方
製造現場では、黙々と作業に取り組む時間が1日の多くを占めます。
周囲に流されず、長時間集中して作業を進められる方にとって働きやすい環境といえるでしょう。
もちろん協調性も必要ですが、自分に任せられた作業に没頭できる能力は、製造業おいて大きな強みとなります。
ルーティンワークが苦にならない方
同じ作業の繰り返しをこなせる方も、製造業に向いています。
製造業の工場で勤務する場合は、基本的にルーティンワークが中心です。
業務はマニュアル化されているため、未経験でもチャレンジですが、人によっては業務内容に変化がないことに飽きてしまい、苦痛に感じる場合があります。
そのため、単調な作業に抵抗がなく、コツコツと取り組める方にとっては、製造業は適した職場といえるでしょう。
業務を丁寧にこなせる方
製造業には、業務を丁寧にこなせる方も向いている傾向にあります。
製品の品質と安定性は企業の評価に直結するため、品質を一定に保ち、不良品の発生を抑えることが非常に重要です。
几帳面で細部にまで注意を払える方は、製品のわずかな変化にも気づきやすく、加工や組立の段階で問題を未然に防げます。
こうした丁寧な姿勢が、日本の高品質なものづくりを支えるのです。
体力に自信がある方
製造業の業務には、重い製品を運ぶ作業や、長時間の立ち作業が続くことも少なくありません。
また、2交代制・3交代制の工場では夜勤で働く場合もあり、生活リズムの調整も必要になります。
体力に自信のある方は、こうした業務にもスムーズに対応でき、高いパフォーマンスを維持できるでしょう。
ただし、重量物を扱わない工程や、座って作業できる職場もあるため、ご自身の体力にあわせて勤務先を選ぶことが大切です。
製造業では人々の生活を支えるものづくりに関われる!
今回は、製造業の業種や年収を解説しました。
製造業は、製品を作り出すことを主な業務とする企業・業界全般を指します。
人々の暮らしに欠かせない製品の生産に携われるため、大きなやりがいがある仕事といえます。
また、各業種に活かせる専門的なスキルや知識を持つ人材は、企業から高く評価されるため、年収の向上も十分に期待できるでしょう。
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